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kudan(4425)について深掘りしてみた!

【Kudan(4425)について深掘り】

“人工知覚(AP)=空間知覚” を実装するSLAM専業の現在地 ― 技術、実用化、パートナー、財務と成長戦略をKudan公表資料だけで読み解く

注記(重要):このブログはKudan社が公開しているIR資料・決算説明資料・技術ページ・公式プレスリリースのみを根拠に作成しています。

外部報道や解析は参照していません。

出典は本文末と各節の末尾に明示します。  

エグゼクティブサマリ(冒頭3行)

  • Kudanは**Grand SLAM(Visual + 3D-LiDARなど)**を中核に「空間知覚(Spatial Perception)」を標榜する商用SLAMベンダー。商用グレードの堅牢性・軽量化・マルチセンサ統合を強みとしている。 
  • 事業は「製品組込(製品化案件) → ソリューション化(デジタルツイン等) → SW/HWパッケージ化」へとピボット中。2025年3月期は製品化件数増加も売上未達・赤字継続。今期は売上回復&赤字圧縮を目指す。 
  • 主要パートナー(NVIDIA、Intel、NTT InfraNet、各AMRベンダー等)との連携で「実運用」に踏み込んでおり、AMRとデジタルツインでの商用案件が成長軸。 

1) 会社スナップ(1ページで把握)

項目 内容
上場 東京証券取引所グロース(証券コード 4425)
設立 2014年11月(Kudanグループ:UK拠点等あり)
代表 CEO: 項 大雨(Kudan公表)
事業 人工知覚(AP)技術の研究開発およびSLAMソフトウェアのライセンス提供
拠点 日本(東京)+海外(UK、米国、独など)
(会社基本情報はKudan IRページ参照)

2) 技術の中身(“何ができるのか” をKudanの言葉で詳述)

Grand SLAM のコア(Kudanの公開説明を整理)

  • Visual SLAM(カメラ):商用グレードで「高速処理・低メモリ・高堅牢性」を標榜。照明変化や長距離トラッキングの安定化に注力。 
  • 3D-LiDAR SLAM(KdLidar):従来LiDAR問題(点群のブレ/データサイズ)を改善し「誤差1cm以内」「マップサイズ圧縮(同社表現で300倍縮小の事例)」やIMUとの統合で低レイテンシ推定を実現。 
  • タイトカップリング(密結合)設計:カメラ・LiDAR・IMU・GNSSなどを“密に同期”して融合。単なる疎結合フィルタより精度/堅牢性で優位を主張。 
  • SLAM×AI(SLAM X AI):AI(深層特徴)を使ったリローカライゼーションや変化検知・自動地図更新機能を開発中/適用。これにより風景変化や季節変動にも強い位置推定を目指す。 

実務的な意味:Kudanは「軽い(エッジ適合)」「高精度」「マルチセンサに柔軟」――これが現場のAMRや放送用カメラ、デジタルツインで導入される強みの根拠。

3) 製品化・導入状況(Kudanが開示している実績)

主要数値・ハイライト(Kudan公表)

  • 顧客製品化(=Kudan技術が顧客の製品に採用・製品リリースに至った案件):**8件(2025年3月期)**に増加(前年から大幅増)。ただし「製品普及速度が想定を下回り、製品関連売上は伸び悩み」。 
  • 売上(2025年3月期):計画700百万円に対し 実績510百万円(5.1億円)で未達。コスト増で調整後利益は悪化(数億円の赤字)。 

代表的導入事例(Kudan開示より)

  • NexAIoT / NexMOV-2:Kudan Visual SLAM と NVIDIA Isaac Perceptor を組込んだAMRが台湾の工場で稼働(公開デモと現地導入)。 
  • FOX Sports / Super Bowl LIX:高周波LiDAR SLAMを用いたリアルタイムAR演出(放送用ロボットカメラ)で世界配信に採用。 
  • NTT InfraNet 連携:都市部(GNSSが効かない地帯)での高精度3D地図生成のPoCを公表(マニュホール等の地物データと融合して精度向上を実証)。 

これらはすべてKudan公式のプレス/決算資料で確認できる実績です。

4) パートナー/エコシステム(Kudan公表分の整理)

Kudanは「単独で売る」よりも半導体/プラットフォーム企業やAMRベンダー、放送事業者と共同で実運用に乗せる戦略を明確にしている。主な公開パートナーは以下(Kudan発表ベース):

  • NVIDIA:Isaac Perceptorとの統合、AMR向け共同パッケージ・現地導入(台湾 NexAIoT案件等)。 
  • Intel:Intel Edge Insight for AMR との統合・KdVisual最適化(複数のブログ・リリースで公開)。 
  • NTT InfraNet:都市での高精度3D地図生成で共同PoC(GPSが効かない“都市峡谷”での検証)。 
  • AMR/ロボベンダー各社(公表例):NexAIoT, Vecow, ADLINK 等との協業で「キット/統合ソリューション」を提供。 

含意:Kudanは“プラットフォーム・チームプレイヤー”として、SoC/エッジベンダー+AMRメーカー+顧客(利用現場)を結んで実運用まで持っていくことを重視している。

5) 財務・経営戦略(Kudan自身の開示から読み取れること)

直近(2025年3月期、Kudan発表)

  • 売上実績:5.1億円(通期)/計画7.0億円で未達。 
  • 顧客製品化件数:8件(前年比 +100%)だが、製品ライセンス収入の伸びは遅い。 
  • コスト:組織強化・新規開発でコストが増加(計画11.3億→実績13.1億等)。結果、調整後営業損失は拡大(※同社の定義での調整後利益基準)。 

今期見通し(Kudan発表)

  • 2026年3月期(見通し):売上7億円(+35.3%)、期末時点で調整後営業赤字を約▲5.9億円まで縮小を目標。ただし通期ベースはまだ赤字見込み(詳細は決算資料)。 

経営の方針(Kudanが言うところ)

  • ソリューション志向へシフト:単発の製品組込み依存を下げ、デジタルツインやSW/HWパッケージを拡大して収益構造を多層化する。 
  • 空間知覚(Spatial Perception)への拡張:AP(人工知覚)をAIと融合して“空間知覚”へ進化させることを中長期の方向性として掲げる。 

6) 用途別(Kudanが提示しているユースケース) — 表でまとめ

用途 Kudanが示す導入価値(Kudan記載) Kudanの公開事例(抜粋)
AMR(倉庫・工場) Visual SLAM + Isaac Perceptor等で低コストで3D認識。動的環境でも安定ローカライズ。 NexMOV-2(NexAIoT+NVIDIA)で工場稼働。
デジタルツイン / 3Dマッピング GNSSが効かない都市でも高精度3D地図生成(NTT InfraNet連携で横方向12cm等の実証値)。 NTT InfraNet PoC(品川Konan地区)。
放送AR / スポーツ演出 高周波LiDAR SLAMで低レイテンシARを実現。世界配信イベントで採用実績。 Super Bowl LIX(FOX Sports)採用。
車載 / 自動運転補助 高密度マップ作成や自己位置推定の補助。エッジSoC(Intel等)最適化での実装を目指す。 各種ソリューション連携情報(Kudan製品説明)。

7) 強み・課題(Kudan公表情報のみを基にした整理)

強み(Kudanが強調する点)

  • 商用グレードSLAM(速度・精度・堅牢性)。 
  • マルチセンサ密結合設計(カメラ/ LiDAR / IMU / GNSS の密結合)。 
  • 実運用事例の積み上げ(AMR実装、Super Bowl等の大規模イベント)。 

課題(Kudanが自ら明示している問題点)

  • 製品普及速度の遅さ(顧客製品化は増えたが、製品側での普及が想定を下回るとの自己評価)。 
  • 収益化のフェーズが未成熟(売上計画未達、赤字継続)。 
  • 補完技術/エコシステム成熟の必要性(Kudanが自らSW/HWパッケージや外部連携の強化を表明)。 

8) SWOT(Kudan公表情報だけで作る簡易版)

強み(S) 弱み(W)
高精度SLAM(Visual + LiDAR)・密結合技術。 売上はまだ小規模、採用の普及速度が課題(収益化フェーズ)。
NVIDIA/Intel等との技術連携・実運用実績。 開発・組織コストの増加で短期的に赤字継続。
機会(O) 脅威(T)
AMRやデジタルツイン、放送ARなど複数用途の商用化拡大。 大手プラットフォーマやAMRベンダーの内製化、競合SLAMベンダー。

9) テロップ(短い目を引く“要点キャプション”)

テロップA(売上):2025通期は売上5.1億円、計画は7億円。製品化件数は増加も売上伸長は遅れ。

テロップB(技術):Grand SLAM = Visual + LiDAR + 機械学習で「長期安定の自己位置推定」を目指す。

テロップC(案件):Super Bowl / Fox Sports の実運用採用は「放送AR」の有力な実証事例。

10) 対話で読みやすくポイント整理

(小さな“図解ショートドラマ”で要点を復習します)

登場人物

  • クダンくん(元気な解説役、Kudan由来のマスコット風)
  • スラミーさん(落ち着いた技術好き、SLAMを解説する博士っぽい)

会話

クダンくん:ねえスラミーさん、Kudanって何が得意なの?

スラミーさん:ざっくり言うと「現場で動くSLAM」。カメラとLiDARをガッチリ結びつけて、ロボや放送カメラで“ちゃんと動く”ようにしてるんだよ。

クダンくん:実際の実績ってあるの?

スラミーさん:あるよ。工場でのAMR導入(NexAIoT+NVIDIA)や、Super Bowlでの放送AR採用、都市の3D地図PoC(NTT)なんか。実運用での事例が増えている点は評価材料だね。

クダンくん:でも売上はまだ小さいって聞いたよ?

スラミーさん:その通り。製品化件数は増えているが、製品の市場普及スピードが想定より遅く、売上は計画に届かなかった(2025通期で5.1億円)。今は「ソリューション化」と「SW/HWパッケージ」で収益化を急いでいる段階だね。

11) 投資家/事業検討者への実務的チェックリスト(Kudan開示を踏まえて)

Kudan公表の情報に基づき四半期チェックすべきポイント(KPI)

  1. 顧客製品化の件数と、製品関連売上(四半期) — 製品化だけでなく“製品が市場で売れているか”を追う。 
  2. 大型ソリューション(デジタルツイン等)の開始/契約規模 — ソリューション化が進むと収益の質が変わる。 
  3. 半導体・プラットフォーム連携の深度(NVIDIA/Intel等) — 組み込み展開の鍵。 
  4. 助成金・為替影響・一過性費用の状況(Kudanも決算で言及) — 収益のブレ要因。 

12) まとめ(Kudan開示だけで描く“現時点の総合評価”)

ポジティブ:Kudanは「実運用に使えるSLAM」を掲げ、NVIDIAやIntel、放送局等との共同事例で“実証済み”の歩みを進めている。Grand SLAMの技術説明と複数の導入事例は、技術力の存在を裏付ける。

懸念点:Kudan自身が明言している通り、「顧客製品化は増えたが市場への普及スピードが想定を下回り、短期的な収益化は遅れている」。コスト増と開発投資のタイミングが重なり、直近では赤字が続いている。今期は売上回復&赤字圧縮のフェーズ。

戦略的含意:Kudanが成功するか否かは “製品化→量産→ライセンス/ARR化” の回路をどれだけ早く安定化できるか に集約される。KudanはそのためにSW/HWパッケージ化、エコシステム連携、デジタルツイン等のソリューション化を明確に掲げているが、実際のキャッシュフロー改善が鍵。

参考・出典(本文で用いたKudan公開資料:主要な根拠)

  • Kudan 公式 テクノロジー紹介(Our Technology / GrandSLAM、Visual SLAM、Lidar SLAM 等)。 
  • Kudan 公式 News / Press Release:NexAIoT+NVIDIA(AMR導入)、NVIDIA統合リリース、Super Bowl LIX(FOX Sports)事例、NTT InfraNet 連携等。 
  • Kudan 2025年3月期 通期決算説明資料(決算ハイライト、顧客製品化件数、売上・費用・見通し)。 
  • Kudan IR(会社概要・IRライブラリ等)。 

最後に

長文になりましたが以上が Kudanが公開している情報だけを根拠にした深掘りブログ記事(まとめ) をご覧いただきありがとうございました。

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